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読書メモ
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長いお別れ / 中島京子
ゆっくりゆっくり、遠ざかっていく 長いお別れ。
認知症を患った昇平を10年かけて見送った家族の物語。
妻である自分のことをわからなくなっていても、
日々のやり取りの中に、積み重ねた夫婦の時間の残像が、暖かさと共に確実に存在する。
それを信じ、また頼りにしながら、妻曜子は明るくひたむきに夫と向き合う。
逃げ出したくなるように壮絶な介護の現状が坦々と描かれているのに、このあたたかな読後感。
時にクスっとさせられる娘や孫たちとの時間を交えて描く筆力。
出会えてよかったと思えた1冊。



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啼かない鳥は空に溺れる / 唯川恵
疎まれ冷たくされてきた、憎むべき母と対峙する千遥。
母子で寄り添って生きてきた分、娘に依存しすぎる重たい母を振りきりたい亜沙子。
まったく違う関係性にみえても、彼女たちの生き方そのものに占める、
あまりに大きい母親の存在に愕然とする。
それぞれの母娘の行く先。 ラストは突き落とされるような感覚。
読んでいるこちらまでじわじわと侵食されるような息苦しさ。
久しぶりの唯川さん、一気読み! 新作が待ち遠しい。

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奥田英朗 / 我が家のヒミツ
大好きな家シリーズ 三作目。 さまざまな家族のささやかな物語。
人と人との、ゆるやかで優しいつながり。
ひとりじゃないんだ、誰もがどこかでつながっている。
そう思えるあたたかな読後感。 人生はままならないことの方が多い。

プランAしかない人生は苦しい。
理想の展開を端から信じない、
理想を言い訳にして甘えもしない。
プランB、Cを用意し 不測の事態に備え、もしものときは、そちらを楽しめばいい。

軌道修正を怖れず、むしろ楽しんでしまう そんな生き方もあり!そう、思えたら無敵だと思う。

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群ようこ / ゆるい生活
水毒、という言葉を知って久しい。
群さんがめまいに悩んで、漢方薬局に通った数年間の記録。
めまいの原因は水分の取りすぎ、そして糖分の取りすぎ。
砂糖を放置しておくとベタベタになるでしょう。
砂糖は水分を取り込むの、それが体が冷える原因です。
先生の言葉がわたしにもズドーンと。
悶絶のリンパマッサージに耐え、唯一の楽しみ 和菓子と紅茶を、涙ながらに節制する群さんに
感心しきり、身につまされた。

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家族のさじかげん / 山本ふみこ
山本ふみこさんの文章の、匂いというか佇まいが好きだ。
坦々としているかのようで、時に熱く言い切る潔さと、さらさらと流れるような寛容さ、
そしてペロッと舌を出すようなかわいらしいユーモア。
その絶妙なバランス。こんな大人になりたいと 強く強く憧れるひと。

ふみこさんの言葉

血は大事だが、それはひとつの符号だ。
血がつながっているから、と気をゆるめ、礼儀知らずになれば、壊れる。
それが家族というもの。

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銀婚式 / 篠田節子
男の本分は仕事だと信じるエリートサラリーマン高澤。
彼の25年にわたる人生の流転や葛藤の物語。
バブル崩壊後の社会問題、損保会社の内情、鬱やリストラ、
増えすぎた大学の質の問題まで,社会小説としてもおもしろい。
妻と息子との短い結婚生活、孤独な50男の淡い恋心、戸惑う離れた息子との関係、老いていく両親の問題など次々と。
銀婚式とうタイトルがラストで生きてくるうまさ。
これからの自分たち夫婦の10年間に(我が家は結婚16年目…)少なからず起こるであろう
諸々の出来事としても身につまされた。
しばらく遠ざかっていた篠田節子さん、もっと読み返そう!
by chocolat-au-choco | 2016-02-08 13:25 | 読書メモ


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