寒い冬、おうちでぬくぬくしたい気持ちが先に立ち、必然的に、本の虫がむくむくと。 今年に入って、なかなかのハイペース。 そしてわたしにとっての良書、相性のいい、心に残る本に出会えているのも嬉しい限り。 あっ、この日はたまたま、ムスコの凧揚げに付き合って、公園にて本の虫。(笑) 柚木麻子/本屋さんのダイアナ ダイアナと彩子の友情と成長物語。 ページを繰る手が止まらなかった。 育った環境の違い、持っているモノと持っていないモノ、幼い少女にはどうしようもない現実。 比べたり 憧れたり 疎んだり、 分け合ったり 支えたり 傷つけたり。 本の世界を拠り所にしているダイアナ、そこから広がる世界と、出自にも繋がる数々の伏線。 「清濁併せ呑む柔らかさ」をもつ、そんな大人になるために、 少女たちは迷い 立ち止まり、自分で自分を解放するために立ち上がる。 ダイアナと彩子、それぞれの母の目線でも読めて、出会えてよかった 大好きな1冊に。 中学校くらい、いろんなもやもやを抱えていたあの頃のわたしに、この物語を届けてあげたい、そんな気持ち。 あの家に暮らす四人の女 / 三浦しをん 古い洋館に暮らす四人の女たち。 その日々のささやかな営みの愛おしさ。 余韻がじわじわっと、読後も心をあたためてくれる。 またすぐにでも この四人に会いたい。 続編、求む! すわっ、殺人か!? ええっ 河童!カラス? 奇想天外な出現が、終盤で こんなに感動的(衝撃的か・笑)に、生かされてくるとは。 いつまでもお嬢様然とした憎めない母鶴代の、娘佐知への言葉に思わず涙。 クスクス、むふふ、ああわかる! 37歳同士、佐知と雪乃のガールズトーク。 恋と愛、そして理解について。 語り手の視点の見せ方の斬新さが、すごく好き。 夢を見ない賢者よりは、 夢見る馬鹿になって、信じたい、体現したい。 おとぎ話が現実に変わる日を。 千日のマリア/小池真理子 表題作「千日のマリア」 およそ3年、すべてを受け入れ、耐え続けた 聖母マリアとは…。 読後、タイトルが胸に迫る。 どうしようもない人間の弱さと哀しさ、男女の業、ほの暗く 消せない背徳。 人生も折り返しを過ぎ、ある種の諦めに似たような、じりじりと死へと近づいていく時間。 そんな男と女の短編集。 目をそらしたいような場面も、小池さんの美しい描写でどんどん 引き込まれてしまう。 冷蔵庫を抱きしめて/荻原浩 DV被害 摂食障害 被害妄想、ダメ男好き マスク依存などなど。 それぞれに生き辛さを抱え、心を病んでしまった人たちの短編集。 我が子を守るため、DV男と対峙することを選んだ母親の話は痛快! ここ最近似たような状況で、不幸にも命を落としたこどものニュースが続いていたので、なおさら心に残った。 こんなふうに自らの拳を上げ、潔くノー!を突きつけられる女性は少ないだろう。 それでも祈りたくなった。 蛇行する月/桜木紫乃 北海道の東、高校の同級生 女5人を軸に、彼女たちとそれぞれに関わった人々の25年に渡る物語。 選び取ったモノ、選び損ねたモノ、それを数えてしまう 女の人生。 周りをうらやんだり、あの子よりはまし、と安心したり、見て見ぬふりしたくなる内なる心。 幸せかどうかは自分にしか決められない。 順子の生き方が それをおしえてくれる。 ずるさが包容力になり、恋が勘違いに姿を変えても、 マイナスやプラスを繰り返し、最良の答えを探さねばならない。 結婚は虫食い問題だ。 人生相談。 / 真梨幸子 初読み、真梨さん。 新聞の投稿欄「よろず相談室」に寄せられる悩み相談の数々。 その投稿を選出、掲載していた女性新聞記者の失踪を中心に、謎が謎を呼ぶミステリー。 登場人物の多さとその関係の複雑さ! 時系列も前後するので、まるで頭の体操みたい。 何度もページを遡り、登場人物を確認しながら、一気読み。 人物相関図がほしい!(笑) 家へ / 石田千 新潟の島で育った 新太郎。 東京の美大で彫刻を専攻している。 母とじいちゃん(養父)、毎月通ってくる倫さん(実父)との少し複雑な家庭環境。 大事なことほど語らない母、狭い地域の密着した人付き合い、愛着と同時に感じる閉塞感や煩わしさ。 流されるように過ぎていく時間が坦々と。 新太郎の目線、心の動きに寄り添っているような心持ちになる。 家とは、家族のカタチとは? 新太郎が彫り出していくのは、家族の輪郭なのだろうか。 この音と、この寒さのなか、ひとりきりで見るのが、ほんとうの海だ。 いつだって、ほんとうのことは、ひとりきりのときに出現する。 均ちゃんの失踪 / 中島京子 内田均(ひとし)、通称 均(きん)ちゃん。 有り体で言えば 女たらしの風来坊。 彼を取り巻く、本来なら会うはずのない女性3人が、ひょんなことから集まってしまう物語。 元嫁の景子、現在の彼女である空穂と薫。 年齢も性格も職業も 全く違うのに、どこかとぼけた可愛らしさと寛容さを持つ、それぞれが魅力的に描かれる。 均ちゃんが悪いのよ。 四ヶ月もほっぽっとくから、女はみんないろんなこと決めちゃったのよ。 均ちゃんの失踪、その間に自分の道を選択した3人の清々しさ。 戻ってきたら、取り残された男がひとり。 でもなんだか憎めない。 女は強し!なんだか元気になれました。 人生は起承転結の連なりではなくて、どちらかと言えば、 すうーっと入ってきて、ピタッと収まるスキマ家具のような出会いの連続なのかもしれない。
by chocolat-au-choco
| 2016-02-14 19:38
| 読書メモ
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